株式会社エナジー311は「エネルギーの見える化」機器の貸出しで、お客さまと共にエネルギーの無駄を発掘、削減を実現する省エネルギー・サービス会社です。

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必要ない資格を取得する

省エネ・サービスの生業を始めてから、電気工事に関する資格(電気工事士、認定電気工事従事認定)を取得しました。
でも、弊社のビジネスは、エネルギー管理士の資格は業務遂行のために必要でも、電気工事をやるわけではありませんので、本当は電気工事に関する資格は必要ありません。

弊社のビジネスは、電力の使用状況を計測するためにキュービクルや制御盤や分電盤に電力計測機器を一時的に設置するのですが、それは一般の電気工事には当たりません。

しかし、キュービクルや制御盤や分電盤の扉を開けて作業をしていると、一般のお客様から見たら電気工事をやっているかのように見えますので、「この人、電気工事の資格を持ってるのかしら?」との不信感や不安感を払拭するためと、問われた時に「この作業は電気工事には該当しませんで、・・・」といちいちご説明するのも面倒臭いので、電気工事に関する資格を取得しました。

三菱電機の「見える化」効果

雑誌「環境ビジネス」に、「見える化」を活用して運用改善(省エネ設備導入もある)を進めて、3年間で電力原単位を61%削減した三菱電機の事例が載っています。https://www.kankyo-business.jp/column/013329.php?platform=hootsuite

このやり方での省エネは、資金の面から省エネ設備の導入が難しい中小企業には有効な手法なのではないかと考え、それを提供する省エネ・サービスを始めて2年半がたちました。

三菱電機のようなシステムを導入するのは、それこそ資金面で難しいですから、10点ほどの計測が可能な「見える化」機器を一定期間貸し出して、そのモニタリングによってエネルギーの無駄を発掘し、その無駄を削減するためのご提案を提供致します。

ビジネスとしては難しいですが、この環境ビジネスの三菱電機の事例を読んで、「中小企業に使って頂き、その省エネに貢献し喜んで貰いたい」という気持ちが更に強くなりました。

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省エネ診断との違い

コンプレッサーの省エネで、「吐出圧力を必要最小に下げる」というのが定石であって、省エネの教科書などでも示されていて、省エネ診断での提案項目にもなります。

でも、実際に行おうとするとなかなか大変です。

工場の末端での実際の圧力など分からない場合がほとんどで、吐出圧力を下げた時に最も圧力が低くなる末端にある設備の圧力が、設備が必要とする圧力以下にならないことを確認しないことには、迂闊に吐出圧力を下げることができません。

工場の末端の圧力を約1ケ月間計測し、設備が必要とする圧力に対して余裕が十分であることをお客様に示して、ご理解頂いた上で初めて実現できます。

省エネ診断で提案だけをすることと、省エネ策を実現するまでのサービスは全く異なるものです。

 

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省エネ補助金制度の改善を求む

地球温暖化防止への政策として、各省庁から省エネ設備導入のための補助金制度があります。最も有名で昔から実施されてきたものに「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」がありますが、古い設備から最新の設備に更新してエネルギーの使用量を1%削減できれば1/3の補助金を獲得できます。

しかし今の補助金のスキームは、現有設備を省エネ設備にリプレイスしたら、どれだけ省エネになりますか?だけで評価し採択しているものだから、現有設備が過剰設備であるか否かなど問われずにリプレイスが行われています。

でも、現状の設備が過剰なスペックであるか否かについて吟味しないままで、ただ省エネ設備にリプレイスすれば良いのかというと、そうじゃないと思います。

いくら設備単体として高効率の省エネ設備にリプレイスしたところで、無駄が多い過剰な使い方のままでだったら余り意味ないと思うのだけれど、現状の使い方を見直しして適正なスペックの設備にリプレイスしようという要求事項がスキームから欠落しているのでそうなりません。

省エネ設備を売る側からしても、見積りを依頼されれば、いくら元々が過剰な設備であったとしても、よりコンパクトなもので見積りをしようとはならないでしょう。
今使っている過剰な設備のままでの方が大型のタイプとなって、より売上が大きくなるのですから。

地球温暖化対策が目的じゃなくて、省エネ設備を世の中に普及させることでの経済刺激策が第一の目的なんじゃないか?と勘繰ってしまいます。

もし2030年の原油換算5030万kL削減の目標を真剣に達成しようと考えるならば、経済刺激策としての目的を抱き合わせにするのではなく、省エネ目的に特化した徹底したやり方をすべきです。

全く何もないところから新設設備を立ち上げるのであれば、ある設計条件により設備能力を算出し更に裕度を乗せることになりますが、「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」で言えば現有設備のリプレイスなので、実際に稼働している設備が存在しており現状把握は可能なのですから、現状の負荷効率を実測した上で、適正なスペックでのリプレイスにすることをスキームの要求事項として折り込むことが必要と考えます。

お客さまからのリピート

昨年に省エネ・サービスをご提供させて戴いたお客さまからリピートのご依頼を戴きました。

お客さまの光熱費削減をご提案する弊社のサービスは、一旦、光熱費が削減されてしまえば、暫くはリピートの必要はなく、お客さま獲得の面で難しいビジネスであると自覚しておりましたので、大変有り難いことでした。

弊社の光熱費削減のご提案は、「省エネ設備に更新すると、これだけ光熱費が削減できますよ!」という省エネ設備導入によるご提案よりも、「このような箇所にエネルギーの無駄がありますから、このようなやり方の変更で無駄取りをやりましょう。」という運用改善でのご提案が主体となっています。

そのため、弊社から幾ら効果のあるご提案をしても、お客さまがアクションを取らなければ光熱費削減の効果を獲得できません。

今回、リピートして下さったお客さまも、昨年の作業において「この設備は、大きな光熱費削減の可能性を持っています」と、光熱費削減のために必要な事のご提案をしたのですが、全く反応がありませんでした。

ところが、ターゲットとしていた設備とは別の設備(お客さまにとってアクションの簡単なに設備)対し実施した削減策で、事業所の10%に相当する光熱費削減の成果が得られました。

今回のリピートのご依頼に際し、社長さまから「失礼ながら、昨年は余り期待をしていなかったのだけれど、大きな光熱費削減に繋がり感謝している」とのお言葉と共に、昨年、着手できなかった大きな効果が期待できる設備への改めての取り組みを依頼されました。

今度は、お客さまのアクションも期待できます。

やはり、お客さまにとってみれば「どこの馬の骨」か判らない相手から、いきなり大きな提案をされても信用できるわけはなく、小さな実績を積み重ねて、お客さまの信頼を獲得してゆくことが大事であると感じました。

大局を見ない「視野狭窄の論理思考」の落とし穴、いや害悪

このグラフは、エネルギー基本計画における2030年の電源構成を示しています。

いわゆる「原子力が20~22%」「再エネが22~24%」として それぞれの目標値に関して その数字が大きいとか小さいとか議論になったものです。

需給見通し

このグラフの一番左のグラフの右上をご覧ください。

「経済成長 1.7%/年」

2030年の電源構成は、この経済成長率を元々の「前提」として需要予測を行い決めています。

安倍政権が打ち出したGDP2%成長との矛盾がないように数値的整合性を取るために設定されたものではないかと推量致します。

 

政策立案者は、種々の経済政策によりGDP2%成長の目標を達成してゆくのだと言うのかもしれませんが、2030年には今より1千万人は人口が減っていると予想される中、果たして可能な数値なのでしょうか?  とても、そうは思えません。

 

政策立案者は、安倍政権がGDP2%成長と打ち出している以上、それを否定するエネルギー基本計画を策定することはできないのでしょう。「前提」と論理的に整合性の取れるものとしなければいけないのでしょう。

 

「前提」を肯定した上で論理的に組み立てれば、「前提」以降の論理は正しいと言えるのでしょう。でも、そうした筋立ては、視野狭窄に陥っていないでしょうか?「前提」以前を含めて、大局的に俯瞰して見れば、グラフに示された結果にはならないであろうことは直ぐわかります。

 

それでも、「前提」と整合性が取れるようにという建前に拘り、「視野狭窄の論理思考」で物事を組み立ててゆくことは、日本が目指すべきエネルギー政策の方向を誤らせる大きな間違いを犯すことになるのではないかと思えてなりません。

 

省エネ設備を導入する前にやるべきこと

ホンダの藤沢武夫さんの本で大変共感する箇所がありました。

(引用)
私は一つだけ条件を出しました。それは、いくら売れても、どんなによい商品ができても、私がいいというまでは増産はしないでくれ、ということです。
増産すると、増産による利益なのか、ギリギリにしぼった線で利益がでてきたのかがはっきりしません。いままでやってきたものが高い材料だったのかどうか、部品の在庫は何日分が適当であるのかというような基礎を判定できない。一定の数量で生産を抑えておけば、その点が明らかになるだろう。だから、営業がいくら製品を欲しがっても、お客がどんなに欲しいといっても、増産はまかりならんといった。
(引用終わり)

自分の生業は省エネ・サービスで、今迄に経験してきた現場を見ると、多くのところがエネルギーの無駄がジャブジャブ。
でも国の政策は、省エネ設備導入への支援が主体。

建築の省エネをやっている方から、建物の断熱の重要性を勉強させてもらっているのですが、これも同じで断熱の悪い建物のままで省エネ型空調機を導入しても虚しいと思います。

脆弱な断熱の日本の家

<断熱の悪い建物のままで省エネ型空調機を導入するイメージ>(出展不明)

藤沢武夫さんの言葉を読んで、先ずは、無駄を削減し、無駄の発生する原因を除去した上で、最後に省エネ設備の導入するのが本筋と思いました。

国の施策は省エネ設備導入を主体として進めていますが、モノを流通させることでの「経済刺激策」の意味も大きいのでしょうから必ずしも否定するものではないでしょうが、温暖化対策や資源の節約の目的に対しては、もう少し考える必要があるのではないかと思いました。

エネルギー管理者の外部委託に関する承認基準への疑問

「外部委託としてエネルギー管理者をやってくれないか?」との依頼がありました。

2回/週、1時間ほど離れた工場を訪問し、1~2時間エネルギー管理者としての業務をする内容。

(報酬金額は伏せますが、)本来のビジネスが不安定な受注の中、毎月定額の収入があることは、            喉から手が出るほどの魅力がありましたが、辞退させて戴きました。

 

エネルギー管理指定工場でのエネルギー管理者の職務は、省エネ法の第11条で「エネルギー管理者は、第一種エネルギー管理指定工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関し、エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視その他経済産業省令で定める業務を管理する。」と定められています。

具体的には、以下の業務などを行ないます。

  1. エネルギーの使用状況の確認
  2. エネルギー使用設備の把握
  3. 省エネ診断
  4. エネルギーの使用方法の改善提案
  5. 省エネ手法の指導
  6. エネルギー管理標準遵守状況の確認及び改善指導
  7. 定期報告書や中長期計画書の作成支援  など

 

2回/週の依頼事業所への訪問は、関東経済産業局の求める承認基準のようです。

上記の業務の内、現場に足を運ばなくてはできない業務は②と③であり、残りは、必ずしも現地へ足を運ぶ必要もなく、2回/週の頻度が必要な業務でもありません。

②に関しては、設備が正常に運転できているか?の監視は、むしろ作業現場の必須の日常業務ですし、エネルギーの消費状況の変化という点に限れば、時間軸では緩やかな変化であり、1回/週でも十分過ぎるくらいなのだろうと考えます。

そうしたことから、1~2Hr/回の訪問を2回/週行っても業務の密度は薄くなりますし、反って依頼事業所にとっては、外部の人間に頻繁に訪問されても、対応面でのご負担が大きいのではないか?とも思います。

むしろ、1回/週の訪問にして1~2時間と言わずにしっかりと取り組む方が実効が上がるのではないか?

また、現地で得られた課題の検討や調査に帰社後の作業も発生するのだから、自ずと2回/週の職務を満たすのではないか?と、提案したのですが、関東経済産業局の担当者のご意向は「2回/週、依頼事業所を訪問せよ」ということのようです。

関東経済産業局の担当者は、上記した現場の実情をご存じなく、紙に定めた「承認基準」の文字面に従おうとされているのか、小職などが及びもしない深いお考えをお持ちなのか、判りません。

 

訪問するからには、単なる形ばかりの”管理”ではなく、お客様にとって実効あるサービスをご提供したく、小職にとっても訪問するからには密度の濃い時間としたい思いもあり、残念ながら辞退させて戴きました。

【起業の原点】電力を巡る「支配と依存」への憤り

「君のビジネスは、原発メーカーの下請け企業などもお客様の対象としているし、政府の事業に参画したりもするのだから、FBなどでの原発批判や政府批判などは、注意した方がいいよ。」と、友人がアドバイスをくれます。

わたしを心配してのアドバイスで、本当に有り難いことです。

 

わたしが、起業しようと考えたキッカケは、会社名にも表れているように、2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故にあります。

この事故に対しての政府や電力会社による欺瞞や隠蔽などでの不条理、電力需給を巡る電力会社の「支配」構造が浮き彫りとなり、そのことに対する憤りを抑えることができませんでした。

他方で、私たち国民は、電気は来て当たり前、誰かが作って届けてくれるという「依存」の姿勢でした。

この電力を巡る「支配と依存」の関係を解決したいと思いました。

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そうした中、固定価格買い取り制度(FIT)が立ち上がり、多くの方々が再生可能エネルギー(特に太陽光)に着手し始めました。

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これらの動きは、電力需給における電力会社の一極支配を崩し、エネルギー・デモクラシーに繋がってゆきますが、わたしの心には、少しばかりの引っ掛かりがありました。

それは、FITを手掛ける方々の多くに、「FITで儲かるからやる」という姿勢を感じたからです。(勿論、そればかりではない方々もいらっしゃいます。)

それでは、お金に支配されお金に依存した精神の延長線上にあって、真の「依存から自律」へのパラダイムシフトはできないのではないか?との引っ掛かりが心に残りました。(FITで普及させることで機器の価格が低下し普及が加速するでしょう。しかし、それによって「依存から自律」へと人の心が変わり、社会が成熟することに繋がるのだろうか?という疑問があるのです)

エネルギー・デモクラシーに微力でも貢献したい、でも、既に多くの方々が着手していて、自分の心の中に引っ掛かりのある再生可能エネルギーではなく、自分にできることは何だ?と、問うた時、「ネガワット」という言葉と出会いました。

「ネガワット」は、需要者側が今まで無駄に使っていた電力を削減することによって創出される電力を言い、発電所から供給される電力(ポジティブなワット)に対して、逆方向(ネガ)からの供給と言う意味で「ネガワット」と称されています。

今まで20年間、自分がやってきた省エネの技術を活かして、地球温暖化防止に、そして、少しでもエネルギー・デモクラシーのお役に立ちたいとの思いを持って、「株式会社エナジー311」を設立致しました。

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そのような原点があるので、友人からの「ビジネスに不利益になるから」とのアドバイスには、本当に有り難いと感じているのですが、エネルギー・デモクラシー、そして、デモクラシーにとって問題だと感じることに対して「自社益に不利になるから」と口をつぐむのは、元々の原点から逸れることでありますので、自分の意見を発信し続けている次第であります。

アクション無ければ効果無し

「電力見える化」を手法とした設備の運転データ計測に基づく運用改善での省エネで削減効果を生み出すには、「アクションあるのみ」であるとつくづく思います。

2年間、このサービスを提供してきましたが、光熱費削減の効果を獲得して戴けたお客様と、そうではないお客様とで、はっきりと分かれました。

サービスの提供者は、お客様が得る効果にコミットするべき、お客様に原因を見つけるのではなく自社の足りなさを省みるべきとの考えが普通ですが、「口を開けて待っていれば何かの効果を提供してくれる」と期待されているお客様は、弊社サービスに期待を持っても、実のある効果を獲得するのは難しいと感じています。

仕事をスタートさせる際に、ひとつのことをお伝えします。

「計測データの分析による弊社からの問題提起に対し、お客様とのキャッチボールをしながら、お客様に実際のアクションを取って頂くことで、実効ある光熱費削減の刈り取りができます。ご協力のほど、どうぞ宜しくお願い申し上げます。」

この言葉に呼応して、エネルギーの無駄を削減するためのアクションをしてくださったお客様は、省エネ設備投資をしなくても、開始1ケ月以内から10%以上の光熱費の削減ができているお客様が多いです。

他方、エネルギーの無駄遣いの可能性とその削減策についてご提案しても、それに対してアクションを起こさないお客様は、実のある削減効果を刈り取ることができていません。

いろいろなご事情や、アクションのための手間暇に対する評価があろうかと思いますが、もし、弊社サービスでの光熱費削減に期待を持って下さるならば、「アクション無ければ効果無し」でお願い致します。