経済産業省の補助金のスキームの中に「エネマネ事業者(エネルギー・マネジメント・システム(以下、EMS)を取り扱う事業者)」というものがあります。
エネルギー・データを管理して適正なエネルギー管理を行なうことをサポートするための事業者です。
国は、EMSを普及させるために、登録された「エネマネ事業」からEMSを導入し、「エネマネ事業」を通して省エネ設備の導入する場合、省エネ設備導入のための補助金の補助率が通常は1/3のところが1/2にする優遇措置を設けています。
弊社は、「電力見える化」機器貸出しによる光熱費削減コンサルを生業としているのですから、EMSの有効性は身をもって理解していますし、このスキームが、EMSの普及を目指すものであるとは理解するのですが、以下の3点において、疑問を感じざるを得ません。
1) 補助金申請者は、本気でEMSを求めているのか?
2) 形ばかりのエネマネ事業者が生まれないか?
3) 導入されたEMSは、有効に活用されるのか?
このスキームでは、エネマネ事業者を活用すると、1/3の補助率が1/2へと上がるために、本当はEMSには関心がないけれど、設備の更新のためにエネマネ事業者を活用するというケースが出てきます。
そうしたケースでは、EMS自体には関心の薄い事業者に導入されたEMSが有効に活用される期待は小さいでしょう。
また、設備を売りたいがための形ばかりのエネマネ事業者が生まれることも危惧します。
EMSは、ただエネルギーの使用状況が見える仕組みがあるだけでは、この有効性を活かすことができず、エネルギーの使用状況を分析し、どのようにしたら賢い使い方ができるか?の具体的提案にまで進まないと、実効あるものとはなりません。
そして、そうした作業は、エネルギーの専門技術者がいない事業者自身では、なかなかできませんし、一方、手間暇かかることですので、どこまで踏み込んだサポートをエネマネ事業者がするのかが、EMSが有効に活きるかのポイントになると考えます。
この省エネ補助金のスキームを引いた目で見つめますと、「省エネ設備を導入する。EMSを導入する。」という「モノ」さえ投入すれば省エネが進むという思考の延長線上にあるのではないかと思います。
このエネマネ事業者を活用することでの省エネ設備導入補助金の補助率優遇措置の目的が、「モノ」に付随するお金に群がる設備メーカーを潤すとともに世の中にお金を回す経済刺激政策であるというなら兎も角、地球温暖化防止や資源活用の高効率化にあるのであれば、単に「モノ」(=省エネ設備)を導入して手っ取り早くやっつけてしまおうとする安易な思考からは、期待する効果は得られないのではないかと考えます。現場を見つめ、どこに無駄があるかを考え変えてゆく「コト」への思考に変わってゆくことが、遠回りではあるけれど、現場の力を育て、引いては、本来の目的に近づく道となるのだろうと考えます
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