このグラフは、エネルギー基本計画における2030年の電源構成を示しています。
いわゆる「原子力が20~22%」「再エネが22~24%」として それぞれの目標値に関して その数字が大きいとか小さいとか議論になったものです。
このグラフの一番左のグラフの右上をご覧ください。
「経済成長 1.7%/年」
2030年の電源構成は、この経済成長率を元々の「前提」として需要予測を行い決めています。
安倍政権が打ち出したGDP2%成長との矛盾がないように数値的整合性を取るために設定されたものではないかと推量致します。
政策立案者は、種々の経済政策によりGDP2%成長の目標を達成してゆくのだと言うのかもしれませんが、2030年には今より1千万人は人口が減っていると予想される中、果たして可能な数値なのでしょうか? とても、そうは思えません。
政策立案者は、安倍政権がGDP2%成長と打ち出している以上、それを否定するエネルギー基本計画を策定することはできないのでしょう。「前提」と論理的に整合性の取れるものとしなければいけないのでしょう。
「前提」を肯定した上で論理的に組み立てれば、「前提」以降の論理は正しいと言えるのでしょう。でも、そうした筋立ては、視野狭窄に陥っていないでしょうか?「前提」以前を含めて、大局的に俯瞰して見れば、グラフに示された結果にはならないであろうことは直ぐわかります。
それでも、「前提」と整合性が取れるようにという建前に拘り、「視野狭窄の論理思考」で物事を組み立ててゆくことは、日本が目指すべきエネルギー政策の方向を誤らせる大きな間違いを犯すことになるのではないかと思えてなりません。