株式会社エナジー311は「エネルギーの見える化」機器の貸出しで、お客さまと共にエネルギーの無駄を発掘、削減を実現する省エネルギー・サービス会社です。

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弊社代表・小野村のブログです。 仕事のこと、社会のこと、個人のこと、思うところを書かせて戴きます。

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【常に、隣人のお役立とうと思っていないと、見えているものも見えない】

再エネ賦課金の減免制度があります。
一定の要件を満たす事業者に対して、電気料金に含めて徴収されている再エネ賦課金を80%減免する制度です。
http://www.enecho.meti.go.jp/…/s…/kaitori/nintei_genmei.html 

この制度のことは以前から知っており、お客様にご紹介していました。
今朝、本年度の減免認定事業者のリストを眺めていまして、「AA土地改良区」という事業者の名前を目にして、一人の先輩の顔を思い浮かべました。
その先輩も「BB土地改良区」に携わっている方で、ポンプの電気代が大きいことは以前より聞いていました。
この制度を教えて差し上げれば、大変に有益なはずです。

何故、以前に、このリストを目にした時に、先輩のことを思い出さなかったのだろうか?

1)この制度が、民間企業対象だという先入観があったこと。
2)先輩にはお世話になりっぱなし(与えられっぱなし)で、当方から先輩に提供するという意識が希薄であったこと
3)プライベートでの先輩との会話と、業務に関連する情報とのリンクが繋がらなかったこと。

「土地改良区」という文字が、肉眼では見えていたはずなのに、認識としては全く見えていなかったのです。

先輩にとって有益な情報だと気付いた今、大いに悔いています。
平成28年度分の申請期限は11月末で終了してしまいました。

お客様の不安を解消すること

弊社では、省エネの各種技術を駆使して、お客様の光熱費削減のお手伝いをしていますが、省エネの技術以前に、お客様の不安を解消することが、とても大事であることと感じております。

今(2015年5月)お引き合い戴いているお客様では、15kWと7.5kW、2台のコンプレッサーを所有しておりますが、2週間前に初めてお訪ねした時、2台のコンプレッサーを同時運転していました。

調べてみますと、7.5kWのコンプレッサー1台では圧縮空気の供給量が少し足りませんが、15kWのコンプレッサーでは圧縮空気の供給量は十分過ぎるほど足りていましたので、15kWのコンプレッサー1台での運転をして戴くように致しました。

更に、15kWのコンプレッサーは古い型式ゆえに、アンロード(エア圧力が十分足りている時に、コンプレッサーは圧縮空気の吐出を停止して待機している状態)時に、圧縮空気の供給に寄与しない「待機電力」として、定格出力の55%に相当する8.2kWを消費することが判りました。

7.5kWのコンプレッサーのほんの少しの供給能力不足のために、15kWのコンプレッサーを運転しますと、8.2kWも消費するアンロード時間が長くなり電気の無駄が多いため、何とか7.5kWのコンプレッサー1台で賄えるよう、消費側の無駄を削減しようとしていた矢先・・・

先週の金曜日から、15kWと7.5kW、2台のコンプレッサーの同時運転を再開してしまいました。

2台運転の理由を現場の職場長さんにお聞きしますと、「今までは、設備の稼働台数が少なかったのですが、今日から稼働台数が増えましたので2台運転にしました。」とのお返事。設備の稼働台数が増えても、15kWコンプレッサーの圧縮空気の供給量では足りないという根拠は何もないのに?と思ったのですが、「生産現場を預かっている職場長さんにしてみれば、不安なのだろうなあ~。」と、思いました。

そこで、その不安を解消する仕組み(具体的な説明は省略しますが)を作って、職場長さんにご説明し、15kWコンプレッサー1台での運転をしてもらいましたところ、問題なく15kWコンプレッサー1台で賄えることが判り、約5kW(2千円/日相当)の低減ができました。(下添付のグラフをご参照ください)

コンプレッサーの圧縮空気の供給量が足りるか足りないかという理屈以前に、お客様の不安を解消することが大事であることを改めて感じた事例でした。

20150528 不安を解消すること

省エネ補助金への懸念

最近の省エネ補助金で、気になることがあります。
「エネマネ事業者(エネルギー・マネジメント・システム(以下、EMS)を取り扱う事業者)を使うと、1/2の補助率が2/3に、1/3の補助率が1/2に」といった優遇措置についてです。
下記PDFの右下の記載をご参照下さい。

http://www.meti.go.jp/main/yosan2014/hosei/pdf/01.pdf

弊社は、「電力見える化」機器貸出しによる光熱費削減コンサルを生業としているのですから、EMSの有効性は身をもって理解していますし、このスキームが、EMSの普及を目指すものであるとは理解するのですが、以下の3点において、疑問を感じざるを得ません。

1) 補助金申請者は、本気でEMSを求めているのか?
2) 形ばかりのエネマネ事業者が生まれないか?
3) 導入されたEMSは、有効に活用されるのか?

このスキームでは、中小企業の場合、エネマネ事業者を活用すると、1/2の補助率が2/3へと上がるために、本当はEMSには関心がないけれど、設備の更新のためにエネマネ事業者を活用するというケースも出ることが考えられます。
例えば、1億円の設備を更新したいが、エネマネ事業者を活用し、2千万円のEMSを付加したとしましょう。  得られる補助金は、1億円の1/2の5千万円から、1億2千万の2/3の8千万円に変わり、自己負担金は、5千万円から4千万円に1千万円減るということです。
もし、このようなことが行われたら、EMS自体には関心の薄い事業者に導入されたEMSが有効に活用される期待は小さいであろうし、貴重な国民の税金が無駄になってしまう可能性も危惧します。
また、設備を売りたいがための形ばかりのエネマネ事業者が生まれることも危惧します。

EMSは、ただエネルギーの使用状況が見える仕組みがあるだけでは、この有効性を活かすことができず、エネルギーの使用状況を分析し、どのようにしたら賢い使い方ができるか?の具体的提案にまで進まないと、実効あるものとはなりません。
そして、そうした作業は、エネルギーの専門技術者がいない事業者自身では、なかなかできませんし、一方、手間暇かかることですので、どこまで踏み込んだサポートをエネマネ事業者がするのかが、EMSを有効に活かすためのポイントになると考えます。

この省エネ補助金のスキームを引いた目で見つめますと、「省エネ設備を導入する。EMSを導入する。」という「モノ」さえ投入すれば省エネが進むという思考の延長線上にあるのではないかと思います。
この省エネ補助金の目的が、「モノ」に付随するお金に群がる設備メーカーを潤すとともに世の中にお金を回す経済刺激政策であるというなら兎も角、地球温暖化防止や資源活用の高効率化にあるのであれば、単に「モノ」(=省エネ設備)を導入して手っ取り早くやっつけてしまおうとする安易な思考からは、期待する効果は得られないのではないかと考えます。現場を見つめ、どこに無駄があるかを考え変えてゆく「コト」へと思考を変えてゆくことが、遠回りではあるけれど、現場の力を育て、引いては、本来の目的に近づく道となるのだろうと考えます。

「評判資本」の小さな実験

先般、多摩大大学院でご指導戴いた田坂広志教授が、大阪変革塾の開塾に当たり、

ホームページに塾頭メッセージを出されました。(本ページ最後に転載しています。)

 

この中の一文が心に留まりました。

【「マネタリー経済」偏重の従来の資本主義のパラダイムを超え、全国の地域において、「ボランタリー経済」を活かし、「目に見えない資本」を活用していく「日本型資本主義」の復活を実現していく】

 

「目に見えない資本」

 

この言葉の指すものとして、「知識資本」、「関係資本」、「信頼資本」、「評判資本」、「文化資本」が、田坂広志先生のご著書「目に見えない資本主義」で語られています。

http://www.amazon.co.jp/%E7%9B%AE%E3%81%AB%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E7%94%B0%E5%9D%82-%E5%BA%83%E5%BF%97-%E3%81%9F%E3%81%95%E3%81%8B-%E3%81%B2%E3%82%8D%E3%81%97/dp/4492395180

 

直近の自分の営業活動を振り返り、ある考え方を変える機会を戴きました。

 

今、5月11日(月)から応募の始まる環境省の補助金「平成27年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(経済性を重視した二酸化炭素削減対策支援事業)のうち二酸化炭素削減ポテンシャル診断事業」( http://lcep.jp/offering.html )を活用して省エネ診断を行うお客様を開拓する営業活動をしている真最中です。

 

この補助金は、省エネ診断を希望する事業者が、弊社のような診断機関を活用して省エネ診断を行なった場合に、上限を超えない範囲で全額を補助するというもので、省エネ診断を希望するお客様にとっては、自己負担ゼロで省エネ診断を受けることができ、省エネ対策の提案を獲得できるものですし、弊社のような診断機関にとっても、ご採用戴くためのハードルが低くなるという点で、大変大きなチャンスとなります。

 

こうした中で目にした「目に見えない資本」、そして、「評判資本」という言葉。

 

「今、自分は、この補助金を利用して、楽に売上げを得ようとしているのではないか?」との疑問が湧き上がるとともに、この補助金事業のタイトルに含む「経済性を重視した二酸化炭素削減対策」との言葉に考えさせられました。

 

弊社の「電力見える化」機器を活用しての省エネ診断・コンサル・サービスは、まさに「コストパフォーマンスの高い省エネ手法」で、その良さを、お客様は勿論、環境省や事務局の三菱総研さんに知って戴き、「評判資本」を獲得することこそが、弊社にとって、この補助金事業に参画する意味なのではないかと気が付きました。

(環境省が示している「経済性を重視した二酸化炭素削減対策」とは、この診断事業自体を指しているものではなく、「診断で提案される削減策が、高い経済性のものを」との意ではあろうかと思いますが、この診断自体を含めての言葉と解釈することに致しました。)

 

この補助金事業に参画するという「やること」自体は同じでも、「どのような心の姿勢で臨むのか」が違ってきますと、行動も全く違ったものになろうかと思います。

 

「楽に売上げを得よう」との考えであれば、おそらくお客様に提供するサービスのコストパフォーマンスを最大にすることを目指さずに、補助金の上限まで獲得しようと腐心することになろうかと思います。

 

しかし、「コストパフォーマンスの高い省エネ手法」の良さを、皆さまに知って戴き、「評判資本」を獲得することを目指すことに変更した今、お客様にとって、コストパフォーマンスの高い省エネ・サービスをご提供するという、補助金無しの通常の事業活動と全く変わらぬ姿勢で取り組むことができるようになれると思えます。

 

「電力見える化」機器を活用しての省エネ診断・コンサル・サービスの有効性を皆さんに知って戴き、「評判資本」を獲得できることに繋がり、ひいては、エネルギー問題の解決に微力でも貢献することに繋がればと、全力を尽くして取り組みたいと考えます。

 

【「マネタリー経済」偏重の従来の資本主義のパラダイムを超え、全国の地域において、「ボランタリー経済」を活かし、「目に見えない資本」を活用していく「日本型資本主義」の復活を実現していく】

 

「マネタリー経済」の産物である補助金事業の中で、「目に見えない資本」の内の「評判資本」を生み出すことができるのか?の、小さな小さな実験でもあります。

 

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【大阪変革塾 田坂広志 塾頭メッセージ】

http://www.osaka-jc.or.jp/leader/lecturers/

 

いま、この日本という国に求められているのは、ただ、社会変革のビジョンを語り、政策を語るだけの「評論家的人材」ではない。求められているのは、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つの知」を垂直統合した人材、目の前の「現実」を粘り強く変革していく「知の力」を持った「真の変革者」に他ならない。

 

 

そして、この国の変革は、「東京一極集中」という歪なこの国の在り方を変え、全国津々浦々の地域が、それぞれに個性的に輝くという国の在り方を実現することから始めなければならない。

 

では、全国の地域が「個性的に輝く地域」となっていくために、いま、我々は、何を為すべきか?

 

そのためには、まず、「マネタリー経済」偏重の従来の資本主義のパラダイムを超え、全国の地域において、「ボランタリー経済」を活かし、「目に見えない資本」を活用していく「日本型資本主義」の復活を実現していくことであろう。

 

そして、同時に、地域の経営の現場では、世界に誇るべき「日本型経営」を復活させ、高き志と使命感を抱き、日々の仕事を通じて社会変革をめざす「日本型社会起業家」を育成していくことであろう。

 

この「大阪変革塾」は、そうしたビジョンと戦略に基づき、全国津々浦々の地域から我が国の変革の巨大な運動を引き起こすべく、その「真の変革者」を育成する場として、活動を開始する。

 

いよいよ始まる、この国の変革、その「真の変革者」として、この歴史的な変革の運動への参加を希望する諸氏は、いま、この「大阪変革塾」への入塾を。

30年を経て天国の先輩から届いた返事

昨晩、30年前に参加したヒマラヤ登山の同窓会に、当時のメンバーや友人たちが集まり、楽しいひと時を過ごすことができましたが、会の始まりは、黙祷から始まりました。

その登山では、1人の仲間を転落で失っていました。

 

会も盛り上がった頃、ひとりの友人が、わたしに一枚のハガキを見せてくれました。

それは、死んだ先輩が、ヒマラヤのキャンプ地から、その方に宛てたハガキでした。

 

「Mさん、今回もまた飛行機が飛ばずに、隊荷を陸路で運ばなくてはならなくなりましたが、

今回は、前回Mさんが果たしてくれた役割を小野村が果たしています。

小野村には、今回は、山頂に立って欲しいと思っています。」

 

この3年前の7月末、わたくしと先輩とMさんを含む5人のメンバーは、マカルー峰(写真)登山のため、ネパール・カトマンズでキャラバン出発の準備をしていました。

5300メートルのベース・キャンプまでのキャラバンは、出発地まで飛行機で飛び、そこから60人のポーターを雇い、1800kgの隊荷を2週間かけてベースキャンプまで運ぶものでした。

 

ところが、航空会社の事情で、メンバーは乗れるものの隊荷が載せられないという事態が発生し、1800kgの隊荷は、陸路でキャラバン出発地まで運ばなければならないこととなりました。それは、モンスーンを迎えヒルも多生する湿地となった亜熱帯のジャングルの中を、60人のポーターを管理しながら、1週間を歩き続ける厳しいものでありました。

 

初めてのヒマラヤで、経験の無いポーターの管理をひとりで担当することと、その厳しい気候の中、体力を消耗させながらの隊荷の運搬に自信が持てないわたくしが、隊荷への付き添い役をぐずっていたところ、その役を買って出てくれたのがMさんでした。Mさんは、ドクターとして参加された方でしたので、隊長のYさんは、「メンバーである小野村がやるべき役割を、ドクターにやらせるとは何たることか!!」と、大激怒。

そうした状況を見ていたのが、副隊長であった先輩でした。

 

未熟さゆえのこの失敗を胸に過ごした3年間でした。

そして、3年後の2度目のヒマラヤにおいて、たまたまと言うべきか、天の配剤と言うべきか、3年前と同じく飛行機が飛ばない事態と、隊荷の陸路での運搬の問題が発生し、その仕事を担当することができました。

 

先輩との2度目のヒマラヤを終え帰国したならば、一杯やりながら聞いてみたかったひとつの問い。

「“3年前の借り”は、返せたでしょうか?」

しかし、先輩は墜死し、その答えを聞くことができませんでした。

 

昨夜、30年を経て天国の先輩からお返事を戴いたように感じ、感謝でありました。

 

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