最近の省エネ補助金で、気になることがあります。
「エネマネ事業者(エネルギー・マネジメント・システム(以下、EMS)を取り扱う事業者)を使うと、1/2の補助率が2/3に、1/3の補助率が1/2に」といった優遇措置についてです。
下記PDFの右下の記載をご参照下さい。
http://www.meti.go.jp/main/yosan2014/hosei/pdf/01.pdf
弊社は、「電力見える化」機器貸出しによる光熱費削減コンサルを生業としているのですから、EMSの有効性は身をもって理解していますし、このスキームが、EMSの普及を目指すものであるとは理解するのですが、以下の3点において、疑問を感じざるを得ません。
1) 補助金申請者は、本気でEMSを求めているのか?
2) 形ばかりのエネマネ事業者が生まれないか?
3) 導入されたEMSは、有効に活用されるのか?
このスキームでは、中小企業の場合、エネマネ事業者を活用すると、1/2の補助率が2/3へと上がるために、本当はEMSには関心がないけれど、設備の更新のためにエネマネ事業者を活用するというケースも出ることが考えられます。
例えば、1億円の設備を更新したいが、エネマネ事業者を活用し、2千万円のEMSを付加したとしましょう。 得られる補助金は、1億円の1/2の5千万円から、1億2千万の2/3の8千万円に変わり、自己負担金は、5千万円から4千万円に1千万円減るということです。
もし、このようなことが行われたら、EMS自体には関心の薄い事業者に導入されたEMSが有効に活用される期待は小さいであろうし、貴重な国民の税金が無駄になってしまう可能性も危惧します。
また、設備を売りたいがための形ばかりのエネマネ事業者が生まれることも危惧します。
EMSは、ただエネルギーの使用状況が見える仕組みがあるだけでは、この有効性を活かすことができず、エネルギーの使用状況を分析し、どのようにしたら賢い使い方ができるか?の具体的提案にまで進まないと、実効あるものとはなりません。
そして、そうした作業は、エネルギーの専門技術者がいない事業者自身では、なかなかできませんし、一方、手間暇かかることですので、どこまで踏み込んだサポートをエネマネ事業者がするのかが、EMSを有効に活かすためのポイントになると考えます。
この省エネ補助金のスキームを引いた目で見つめますと、「省エネ設備を導入する。EMSを導入する。」という「モノ」さえ投入すれば省エネが進むという思考の延長線上にあるのではないかと思います。
この省エネ補助金の目的が、「モノ」に付随するお金に群がる設備メーカーを潤すとともに世の中にお金を回す経済刺激政策であるというなら兎も角、地球温暖化防止や資源活用の高効率化にあるのであれば、単に「モノ」(=省エネ設備)を導入して手っ取り早くやっつけてしまおうとする安易な思考からは、期待する効果は得られないのではないかと考えます。現場を見つめ、どこに無駄があるかを考え変えてゆく「コト」へと思考を変えてゆくことが、遠回りではあるけれど、現場の力を育て、引いては、本来の目的に近づく道となるのだろうと考えます。
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