株式会社エナジー311は「エネルギーの見える化」機器の貸出しで、お客さまと共にエネルギーの無駄を発掘、削減を実現する省エネルギー・サービス会社です。

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弊社代表・小野村のブログです。 仕事のこと、社会のこと、個人のこと、思うところを書かせて戴きます。

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「省エネ診断は無料」が常識

CO2削減ポテンシャル診断という国の補助金をお客様にご紹介した。
10件ほどの省エネ対策を策定して80ページほどの報告書で提案する。
省エネ診断の実費が100万円を上限として全額補助されるというスキーム。
しかし、当然ながら消費税分は補助されない。
そこで先方から出た言葉が「消費税分は『損』をする」
提供する診断結果には消費税分(最大でも8万円)の価値すらも無いと思われているのか?と、ショックな言葉でした。
世の中には、省エネルギーセンターや地方自治体が提供する「無料省エネ診断」があり、「省エネ診断は無料」が常識化しています。
2時間ほどの現場ウォークスルーとお客様から入手した資料から頭だけで考えた「無料省エネ診断」の削減案と、実際のエネルギー使用状況を計測し、実データに基づく分析から得られた削減案は、中味が違うのですが、お客様には、それは解らないので「無料」が良いとなってしまう。

エネルギー地産地消のもうひとつの意味

昨日、慶応義塾大学・経済学部の金子勝教授の講演を聞いて、地元でエネルギーを作って地元で使うということの大事さを、今まで理解していた意味を超えて大事であると認識致しました。

それは、近い将来にお金が紙屑になる日もやって来うるということ。
今まで、エネルギーの地産地消は、燃料代として海外に出て行くお金を地元で回すことの意味でしか捉えていませんでした(それでも十分に大事ですが)。
しかし、お金が紙屑になる日へのリスク管理として本当に大事。それは食べ物も同じで、エネルギーと食べ物があれば何とか生きてゆける。
今まで、再エネの事は他人事で、自分の果たすべき役割は省エネと思っていたのだけれど、考えなければいけないと思いました。

「絵に描いた餅」ではなく「食べられる餅」をご提供する

弊社の目的のひとつは、今巷にある「省エネ診断」とは異なる省エネ・サービスを提供したいことです。

現有の「省エネ診断」は、ある前提や仮定を基に計算上で省エネ効果を算出し提案するという手法です。
一例を挙げると、各地域の年間の気温変動データを基に空調負荷を想定し、既存の空調機を高効率空調機に更新したらどれだけの省エネになるか試算して提案しています。

気象庁のデータを用いて、あたかも根拠があるように見えるのですが、これでは、個別の立地条件や各建物の断熱の状況、既存の空調設備の劣化状況や負荷状況について全くの無視です。

冷凍食品のショーケースの更新について既存設備の能力に対して同等能力で高効率機に更新したらどれだけ省エネになるかという試算書を見ながら、ある省エネの専門家なる方に、「現状の負荷状況がどうであるかを実測しないで評価なんてできないのではないですか?」と聞いたことがありますが、「元々の能力計算が不適切とは言えないから良いのだ」とのお返事でした。

でも、古い(20年物の)ショーケースなのですから、扱う冷凍食品自体も変わっているでしょうし、使い方なども当時の設計条件から変化しているでしょうし、劣化も進んでいるでしょうから、現状の負荷状況を実測もしないでよくそんなことが言えるものだと思いました。
「机上の計算」「空理空論」での「絵に描いた餅」ではなく、「食べられる餅」をご提供するのが、自分がやっている省エネ・サービスの目的のひとつです。

「人任せ」にしないこと

昨晩のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」
https://www.shoene-portal.jp/

写真は、リノベーションをされている大島芳彦さんが、お客さんである不動産オーナーから「任せたよ」と言われて喜んで仕事を完成させたけれど、数年経ったら元の状態に戻ってしまった。お客さん自身が当事者にならないと駄目であると語っている場面です。

小職がやっている省エネ・サービスも同じ。
省エネ対策というと、LEDや高効率空調機などの省エネ機器の導入が中心で、省エネ・サービスの会社や省エネ機器のメーカーにお任せになりがち。
でも、そのような「人任せ」をやっている企業ほど後後の設備管理やメンテナンスをやっていないところが多く、せっかくの高効率機器も本来の性能を発揮できずに無駄の多い運転をしていることが多々見られます。
弊社では、運用改善の省エネ対策を中心に行っています。
運用改善での省エネは、省エネ・サービスの会社に丸投げすればできることではなく、お客様自身も手間暇がかかります。手間暇がかかることを嫌がるお客様は多いですが、その手間暇を通して設備の機能や使い方を学べ、それが強みに変わってゆくものと考えます。

「変えるのは、建物でなくマインド」
本当にそうだなあ~と思います。

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無料省エネ診断への疑問

国の補助金で省エネ診断を無料で受けられる仕組みが幾つかあります。
https://www.shoene-portal.jp/

その幾つかに診断機関として仕事をさせて戴き感謝なのですが、無料省エネ診断を受けられる仕組みに疑問も持っています。
その疑問が何処から来ているのかを自分なり探りますと、次の3点があります。

1)今まで、国の政策に依存するマインドを持っていたから、誰かが何処かでどんなやり方で作ったに無関心で電気を使ってきて、最終的に起きてしまったのが福島原発事故だと思っています。
再エネでの地産地消は、地方や個人が誰かに頼らず自律して行動することに大きな意味があると思っております。
「国の補助金に頼ること」は、従来の「依存体質」の延長です。

2)受診事業者に、「タダだからやっている」との意識があって、本気でエネルギーを削減したいとは思っていないと感じられることが多いです。本気でない経営者のところでは成果も生まれません。

3)診断者が真剣勝負をしているかという問題。
有償であれば、それに見合う成果を出さないとお金になりません。
受診事業者を訪問して省エネ診断報告書を書けば、診断者にはお金が入りますから、成果を出すことに対しての貪欲さを失う可能性を包含しています。

省エネの成果は、2)受診事業者と3)診断者との共働で生み出されるものですが、有償であるからこそ、受診事業者は投資を回収しようとなり、診断者はお金の取れるサービスを提供しようとなって、その真剣勝負の取り組みの中から、実効ある省エネの成果が生み出されると考えます。

最初は、国が援助するのも良いかもしれませんが、いつまでも続けるものではないと思います。